訪問看護の報告書作成を90%短縮|2人から広がった現場DX¶
新しいツールを導入しても、最初から現場全員が使うとは限りません。中小企業基盤整備機構のJ-Net21が紹介した福岡県の訪問看護事業者も、導入当初の利用者は2人でした。
利用が広がる転機になったのは、月末の報告書作成です。記事によると、利用者1人当たり1時間以上かかっていた作業で生成AIを活用し、作成時間を90%短縮しました。この数値は同事業者の報告書作成業務の実績です。ほかの業務や事業所で同じ効果が出るという意味ではありません。
現場が負担を感じていた仕事から始めた¶
事業拡大とともに、経営者、管理職、現場スタッフの間で情報共有が難しくなり、退職が相次いでいました。J-Net21の記事では、当時の離職率は83.3%に達したと紹介されています。
経営者は外部のDX支援機関に相談し、従業員の働きやすさを改善する方針を立てました。クラウド型の情報共有環境を導入したものの、利用は最初の2人から始まりました。既存のやり方を変えることへの抵抗もあったといいます。
訪問看護では、月末に利用者ごとの報告書を作成します。この負担が大きい仕事で生成AIの効果を体感できたことが、利用拡大のきっかけになりました。
ツールと仕事の進め方を一緒に見直した¶
その後は社員同士で教え合い、情報共有の範囲も見直しました。業務ツールをまとめる社内ポータルも整え、必要な情報にアクセスしやすくしています。DXは一つのAI機能だけで完結したわけではなく、仕事の進め方や共有方法の変更と組み合わせて進められました。
記事では、離職率が83.3%から7.7%へ改善し、生産性は約1.5倍になったと報告されています。これらは複数の改革を経た後の実績であり、報告書へのAI活用だけが離職率を改善したとは読み取れません。
中小企業で試す3ステップ¶
ここからは、この事例を参考にAidech Managementが整理した進め方です。
- 負担を測る。 毎月繰り返す書類や入力作業を一つ選び、件数、1件当たりの時間、差し戻し件数を記録する。
- 小さく試す。 担当者数と対象業務を絞り、AIが作った下書きを人が確認する手順を決める。
- 効果を確かめる。 作成時間だけでなく、確認・修正にかかった時間、誤り、現場の使いやすさまで比較する。
医療・介護の記録には機微な個人情報が含まれます。外部AIへ入力する前に、組織の利用規程、契約、入力できる情報の範囲、保存やアクセスの設定を確認してください。報告書の内容と専門的判断の最終確認は担当者が行う必要があります。
今日の一歩は、月末に時間を取られている書類を一つ選び、今の作成・確認時間を測ることです。効果が見える対象から始めれば、現場と一緒に次の改善を判断できます。
Aidech Managementでは、業務の棚卸しから小規模な実証、効果測定、運用設計まで支援しています。無料相談はこちら。
同じ事業者の報告書作成と情報共有については、以前の記事でも別の公的資料をもとに紹介しています。
出典¶
中小企業基盤整備機構 J-Net21「離職率83.3%のどん底から『人が輝くDX』で成果」(2026年9月18日公開) https://j-net21.smrj.go.jp/special/dx/20260918.html
※数値は紹介された事業者の実績で、再現を保証するものではありません。画像は説明用のイメージです。



