公的事例:確認対象は約3万区画¶
デジタル庁の記事によると、確認対象の農地は市内外に広がる約3万区画。従来は例年7〜8月に延べ300人程度の調査員を動員し、100人を超える一斉調査の日もありました。
酷暑の中を一日中移動するため、熱中症や交通事故のリスクがあります。高齢化や人員減少により、関係組織へ調査協力を頼み続けることも難しくなっていました。50年以上ほぼ変わらなかった業務を、このまま続けられるかという危機感が出発点です。
いきなり全面導入せず、実証から始めた¶
同自治体は2023年度に実現可能性調査を行い、現地確認作業を約30%、経費を約15%削減できることを確認しました。解析費を含めても、コストを約半分にできる試算となっています。
その結果を受け、2024年度は作付確認が必要な2,000ヘクタールのうち、約3分の1に当たる600ヘクタールで本格導入しました。
AIには、過去3年間の営農計画書から選んだデータを学習させました。異なる時期の衛星画像を組み合わせ、作物ごとの特徴を判定します。全域を一度に切り替えるのではなく、実証で費用対効果を確かめてから、対象を限定して導入した点が重要です。
263人・2,100時間から、107人・850時間へ¶
2023年度は調査員263人、所要時間2,100時間でした。2024年度は107人、850時間へ圧縮し、調査委託費も前年度比で300万円削減しました。対象面積の約3分の1への導入でも、人員・時間・経費はいずれも約6割減っています。
水稲・麦・大豆は95%以上の判定精度を確認しました。一方、学習データが少ない野菜類は70〜90%でした。AIの精度は対象やデータ量によって変わるため、「導入したか」ではなく、「どの対象なら、どの精度で使えるか」を測る必要があります。
小さく始める3ステップ¶
ここからは事例の手順を参考に、Aidechが中小企業や自治体向けに整理した進め方です。
1.現地作業を測る¶
まず1か月、現地確認の対象件数、移動時間、確認時間、人数、委託費、危険があった場面を記録します。単に「大変」とするのではなく、どこに時間とリスクが集中しているかを数字にします。
2.一部で実証する¶
地域、対象物、期間のどれかを絞り、既存の確認結果とデジタル判定を照合します。最初から全件を置き換えず、削減できる移動と、新たに増える解析・確認作業の両方を測ります。
3.精度と費用を確認する¶
正解率だけでなく、誤判定や判定困難なケース、再確認にかかる時間、委託費を含めて評価します。AIの結果を全て正しい前提にせず、判定が難しい対象を人が確認する運用を設計します。これは元記事に記載された具体的運用ではなく、Aidechからの提案です。
導入前に確認したいこと¶
衛星画像やAIの利用では、対象業務の根拠となる制度や通知がデジタル確認を認めているかを先に確認します。データの利用目的、保存期間、アクセス権限、委託先との責任分担も必要です。
また、学習データが少ない対象では精度が下がる可能性があります。全面導入の判断は、平均精度だけでなく、見落とした場合の影響と、人による再確認の手順まで含めて行ってください。
今日の一歩:現地確認を1種類だけ選ぶ¶
現場へ行って確認している業務を一つ選び、「年間件数」「移動時間」「確認時間」「人数」を書き出してみてください。デジタル化するかを決める前に、今の負担を数字にすることが実証範囲を決める材料になります。
Aidech Managementでは、現場業務の棚卸しから、実証範囲と効果測定の設計までご支援します。大規模なシステム導入の前に、まずは小さく試したい段階でもご相談ください。
無料相談:https://aidech-management.com/contact.php
出典¶
デジタル庁ニュース
「アナログ規制見直しとデジタル実装の好循環 ~福島県南相馬市における『作付確認』への衛星データとAI活用事例~」
公開日:2025年8月7日/確認日:2026年10月31日
https://digital-agency-news.digital.go.jp/articles/2025-08-07-1
※本文では民間企業名・製品名を出さず、「福島県内の自治体」「衛星画像」「AI」と表記しています。
※画像は説明用のイメージで、実在の自治体・人物・システムを再現したものではありません。



