常連さんには好評。でも、新しいお客様に届かない¶
「商品には自信がある。でも、知っている人しか買いに来ない」「SNSは投稿しているけれど、購入につながっているかわからない」。そんな悩みは、地方の小売店や、ひとりで商品を作って販売する事業者にとって身近ではないでしょうか。
毎日、仕入れや接客に追われる中で、新たな販路づくりまで手が回らない。だからこそ、最初から大きなネットショップを作るより、「誰に何を届けたいか」を決めるところから始めたいものです。
今回紹介するのは、秋田県の公的DX事例に掲載された「渡修呉服店/合同会社WATA」の取り組みです。デジタル化を単なる作業効率化ではなく、商売の可能性を広げる手段として考えるヒントがあります。
1948年創業の呉服店が感じていた販路の壁¶
秋田市の渡修呉服店は、1948年創業。地元の祭りの衣装や用品などを主力としてきました。商品への評判は良い一方、若い世代への認知が広がりにくく、地域だけを商圏にしていてよいのかという不安がありました。
2025年1月に経営に加わった3代目の渡部仁さんは、地元商工会議所に相談。デジタルマーケティングに詳しい専門家の伴走支援を受け、販路開拓の方向性を具体化していきました。
ここで注目したいのは、最初から「ECサイトを作りたい」と技術だけで考えたわけではないこと。クルーズ船の来航時に海外のお客様に対面販売した経験から、外国の方にも商品を届けたいという構想があり、その目標に合う仕組みを選んだのです。
選んだのは、将来の海外販売を見据えたECサイト¶
同店は2025年5月にECサイトを開設しました。公的記事によると、選定のポイントは海外向けの配送・決済への対応、訪問国に応じた言語表示、ノーコードでの更新のしやすさ、ブログによる情報発信などです。
記事中で支援者が述べるサイト利用料は、当時「月5,000円弱」。ただし、これは紹介事例での説明であり、現在の料金や制作費・決済手数料を保証する数字ではありません。
商品づくりも並行して進めました。秋田ゆかりの漫画家との協業によるTシャツや手ぬぐい、大潟村の藍や「秋田八丈」を取り入れた商品など、地域ならではの魅力を伝える試みです。
つまり、売る場所をオンラインに移しただけでなく、「新しいお客様が欲しくなる理由」も作ろうとしていました。
確認できた成果と、まだわからないこと¶
秋田県の記事では、2代目のご夫婦が新しい取り組み以降、若い来店客が増えてきたと感じていることが紹介されています。また、3代目もECサイトに届く反応に手応えを感じていると述べています。
一方、EC売上高、海外からの注文件数、売上増加率などの数値は公表されていません。
「EC開設で売上が何倍になった」「海外販売に成功した」と断定することはできません。海外展開を目指し、販路開拓に取り組んでいる事例として捉えるのが適切です。
小さなお店が今日から始める3ステップ¶
STEP 1|届けたい相手を1タイプに絞る¶
「地元で買ってくれる人」以外に、観光で訪れた方、以前購入した遠方のお客様、地域の文化に関心がある方など、実際に反応があった層を振り返ります。
最初は「誰に・何を・なぜ買ってもらいたいか」を1行にまとめましょう。
STEP 2|代表商品を3点だけ磨く¶
写真、特徴、使う場面、価格、送料、納期、返品条件を整理。制作背景や産地のストーリーも、購入判断に役立つ情報として添えます。
すべての商品を一度に登録するより、問い合わせの多い商品から小さく試すのがおすすめです。
STEP 3|発信から購入までを確認する¶
SNS投稿を見た人が商品ページへ進めるか、問い合わせや注文のどこで迷うかを確認します。
商品ごとの閲覧数・問い合わせ・注文を記録し、2〜4週間ごとに写真や説明文を改善します。アクセス数だけで「売れている」と判断しないことが大切です。
※この3ステップはAidech Managementによる小規模事業者向けの提案であり、渡修呉服店が実施した手順そのものではありません。
費用と情報管理で注意したいこと¶
EC運営には、月額利用料のほか、制作・撮影、決済手数料、送料、在庫管理、問い合わせ対応などの負担があります。
海外販売を考えるなら、配送可能地域、関税・税金、返品対応、商品ごとの輸出規制も事前に確認が必要です。外国語表示ができることと、海外で問題なく販売できることは同じではありません。
購入者の氏名・住所などは必要な担当者だけが扱えるようにし、カード情報は適切な決済サービスで処理します。他者のイラストやブランドを使用する商品は、権利処理も忘れてはいけません。
今日の一歩は「売りたい商品を1つ選ぶ」¶
まずは、常連さんが選ぶ理由を説明できる商品を一つ挙げてみてください。そして、その魅力が初めて見る人にも写真と文章で伝わるか確認しましょう。
Aidech Managementでは、店舗の集客導線、ECサイトの立ち上げ、SNS・Web発信と業務の省力化を、規模に合わせて一緒に整理します。
大きな投資を決める前のご相談でも構いません。初回無料相談をご利用ください。
参考資料¶
秋田県 AKITA DeX「DX導入で業務改革!小規模事業者事例紹介② 渡修呉服店/合同会社WATA」
掲載日:2025年12月4日
確認日:2026年10月25日
https://digital.pref.akita.lg.jp/casestudy/p20251113171126



