現場の課題:提出を待ち、催促する時間が増える¶
長崎県佐世保市などで自動車学校を運営する株式会社ヒューマングループは、貸切バス・旅行事業も手がける企業です。IPAの2026年8月26日公開インタビューによれば、役員を含め65人、専任のITエンジニアがいないなかで、業務のデジタル化を進めてきました。
以前は、給与計算の元になる資料が繁忙期に提出されず、経理担当者が何度も催促することがありました。教習指導員は教習の合間の短い休憩で情報を確認し、バス運転手には出先で働く時間もあります。事務所の掲示や朝礼だけでは、必要な連絡を必要な人に届けにくい環境です。
事例で行ったこと:チャットから仕事につながる入口をつくる¶
同社はノーコードツール「Lark」を活用し、チャットから業務情報やタスクに直接アクセスできる環境を整えました。長年使ってきたシステムからの移行に際しては、まず5~6人で試し、使いやすさを確認してから全社へ広げたと説明しています。
資料提出の場面では、提出日の2日前から本人へボットで通知。間に合わない場合は「明日の何時までに出します」と本人が連絡できる流れに変えました。単に締切を知らせるだけでなく、遅れるときの伝え方まで仕組みにした点が参考になります。
公表された成果:「人が催促する仕事」がほぼなくなった¶
代表者はIPAの取材で、資料の催促業務が「ほぼゼロ」になったと説明しています。社内電話の90%削減も紹介されていますが、これは同社の取り組みに関する報告値であり、すべての小規模事業者で同じ結果が出るという意味ではありません。
さらに離職率は12%から3%に改善したと紹介されています。ただし、同社はDXと並行して「連絡には必ず反応する」など職場のコミュニケーションも見直しています。離職率の改善を通知ボットだけの効果として扱うことはできません。
重要なのは、「忘れる人を管理する」から「忘れても気づけるよう支える」へ発想を変えたこと。数字だけでなく、催促の気まずさを減らせる可能性があります。
小さな会社なら、まずこの3ステップ¶
① 提出物をひとつ選ぶ。 勤怠、経費、日報など、毎月繰り返し催促が起きるものを一つ選びます。提出期限、受け取る人、確認方法を先に紙や共有表で決めます。
② 締切の2日前に本人へ知らせる。 まずは共有カレンダーや普段使うチャットのリマインダーでも構いません。「いつまで」「何を」「どこへ出すか」を一通で分かる文章にし、催促ではなく準備の案内として送ります。
③ 遅れるときの連絡方法を決める。 提出できない場合は、理由を問い詰めるのではなく「いつ出せるか」を伝える窓口を用意します。1週間試し、通知の回数、提出遅れ、担当者の確認時間、負担感を見直しましょう。
導入前の注意:通知を増やしすぎない¶
ボットを使う場合も、全社員の個人情報や給与の中身を無制限に共有してはいけません。通知先と閲覧権限、記録の保管期間、誤送信時の対応を確認します。給与・勤怠データを外部サービスと連携するなら、契約や社内規程との適合も必要です。
また、通知が多すぎると読まれなくなります。費用はツールの月額料金だけでなく、初期設定や運用担当者の時間も含めて試算しましょう。法令上の保存や承認が必要な書類は、リマインダーだけで処理を完了したことにはせず、担当者による確認を残します。
今日の一歩:「毎月催促している書類」をひとつ書き出す¶
今日できることは、毎月繰り返し催促している提出物を一つ書き出すことです。期限と提出先、遅れた場合の連絡先まで書けば、自動化する前に必要な手順が見えてきます。
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参照資料¶
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)/DX SQUARE「創業73年、エンジニア0人。自動車学校が進めた『管理型から支援型』のDX」/公開日:2026年8月26日/https://dx.ipa.go.jp/interview-humangroup/確認日:2026年10月23日



