現場の課題:報告書と情報探しが、本来の仕事を圧迫する¶
福岡県北九州市で3つの訪問看護ステーションを運営するプーラビダ株式会社では、月ごとに利用者の状態をまとめ、主治医へ提出する報告書の作成が大きな負担になっていました。IPAの2026年8月19日掲載インタビューによると、看護師一人が約20人を担当することもあり、月末月初は残業が発生していたそうです。
事業所の運営には報告書のほか、勤務や車両の点検、マニュアルの確認、スタッフ同士の連絡もあります。「情報がどこにあるか分からない」「同じことを何度も聞く」状態が続けば、現場で使う時間も削られます。
公的事例で行ったこと:AIで下準備、必要な情報は一か所へ¶
同社は、AIを報告書作成の補助に使い、クラウド型の情報共有環境も整えました。新しい利用者について行う事前のアセスメントでは、以前は約1時間かかっていた整理作業を、AIを使って約5分でまとめられるようになったと代表者が説明しています。これは同社の取材時点の紹介値であり、すべての看護業務が5分になるという意味ではありません。
さらに、社内ポータル「ほぽたくん」から、連絡、予定表、車両点検、最新版マニュアルなどにアクセスできるようにしました。スタッフが必要な情報へ迷わずたどり着ける入口をつくった点も重要です。単なるアプリ導入ではなく、日々の仕事の流れそのものを整理しています。
確認できた成果:離職率改善は「AIだけ」の効果ではない¶
IPAのインタビューで同社は、かつて83.3%に達した離職率が7.7%に下がり、取材時点の直近1年間は退職者がゼロだったと話しています。ただし、数値の対象人数や集計期間の詳細は記事中で確認できず、同社自身も心理的安全性の向上、勤務時間内の研修、情報共有の透明化、外部支援などを重ねたと説明しています。これを「AIだけで離職率を改善した」と捉えるのは不正確です。
この事例の核心は、デジタル化で空いた時間を、現場で働く人の学びやコミュニケーションに振り向けたことにあります。
小さな事業所が試す3ステップ¶
① 時間がかかる書類を一つ選ぶ。 まずは1週間だけ、報告書・申し送り・請求前の確認などの所要時間を記録します。何を何分短くしたいのかを明確にし、最初から全業務を対象にしないことがコツです。
② AIに渡す範囲と確認者を決める。 見出し案や文章の体裁、重複表現の点検など、まず個人情報を含まない作業から始めます。内容の正確性や医療・介護上の判断は担当の専門職が確認し、承認するルールをつくります。
③ 匿名のサンプルで試して比較する。 実データを安易に投入せず、架空のケースを使って下書きの品質と作業時間を比べます。修正に要した時間も含め、無理なく使い続けられるかを確認してから対象を広げましょう。
導入前の注意:情報保護・費用・運用をセットで考える¶
訪問看護の記録には、病状、氏名、住所など慎重に扱うべき情報が含まれます。一般向けAIサービスへ個人情報や診療情報をそのまま入力するのは避け、契約内容、学習への利用設定、保存先、アクセス権限、ログ管理、委託先の取扱いを確認してください。法令や事業所の規程、職種ごとの責任を満たす設計が前提です。
費用面では、AIやクラウドの月額料金だけでなく、初期設定、スタッフ研修、運用の問い合わせ対応、二重チェックの時間も試算します。無料版で試せる機能があっても、実運用には適切な管理機能を備える有料環境が必要になる場合があります。
AIが作った文書は「完成品」ではなく確認前の下書き。便利さだけで選ばず、誤りを誰がいつ直すかまで決めておくと安心です。
今日の一歩と無料相談¶
まず今日、「今月いちばん時間がかかった書類を一つ書き出す」ところから始めてみてください。書類の目的と確認担当者も横に書くだけで、どの作業から見直すべきかが見えてきます。
Aidech Managementでは、現場の業務整理から、AI活用、情報共有、業務自動化まで、小さく始める方法を一緒に検討しています。ツールを決めていない段階でも構いません。初回無料相談で現在の流れをお聞かせください。
参照資料¶
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)/DX SQUARE「離職率83.3%からの組織再生。訪問看護プーラビダが実践した「人を守るDX」」/公開日:2026年8月19日/https://dx.ipa.go.jp/interview-puravida/確認日:2026年10月22日



