最初は、担当者が作っても使われなかった¶
同事業者は2019年にDXへ着手しました。最初は専任担当者が現場向けのアプリを作りましたが、社員は従来のやり取りに慣れており、利用が進みませんでした。
そこで役割を変えました。専任担当者が一人で作り続けるのではなく、各部門の社員が自分の仕事に使うアプリを作れるよう、社内勉強会を開いたのです。経営者は全員に毎月アプリを一つ以上作るよう求め、評価制度も設けました。この強い進め方は同社固有のもので、そのまま他社に当てはめる前提ではありません。
「帰社しなくていい」が使い続ける理由になった¶
最初に利用が定着したのは日報アプリです。現場の社員は、日報のためだけに本社へ戻る必要がなくなりました。営業担当者は日報と会議資料を連動させ、資料作成の手間を減らしました。自分たちの負担が軽くなる体験が、次の改善につながっています。
事例では、その後に作られたアプリは3,000件を超えています。若手の現場監督が、生コンクリートの輸送状況を把握するアプリを作った例も紹介されています。現場特有の時間制約や判断を知る人が改善案を出せるようになった点が重要です。
協力企業の作業者登録も紙からQRコードの読み取りへ変わりました。ただし、スマートフォンを持たない人への配慮など、導入時に確認すべき条件があります。
数字を読むときの注意¶
J-Net21の記事は、労働時間の短縮、品質チェックシートのデジタル管理、新卒入社者の3年後定着率83.3%を紹介しています。定着率は同社の複数の取り組みが進んだ後の状況です。日報アプリだけで達成した数値とは言えません。アプリの3,000件超も「作成数」であり、実際に継続利用されている数とは区別する必要があります。
自社で始めるなら¶
ここからは、この事例を参考にAidech Managementが整理した進め方です。
- 往復や二重入力を見つける。 たとえば日報のための帰社回数、移動時間、転記回数を1週間記録する。
- 現場の担当者と一つ作る。 入力項目を最小限にし、現場で試して修正する。利用できない人の代替手段も決める。
- 作成数より利用と効果を見る。 継続利用率、作業時間、入力の誤り、現場の負担を比較する。
今日の一歩は、現場から事務所へ戻って行っている仕事を一つ書き出し、その往復に何分かかるか測ることです。身近な不便から始めると、改善の優先順位が見えます。
Aidech Managementでは、業務の棚卸しから小規模な実証、運用設計、効果測定まで支援しています。無料相談はこちら。
出典¶
中小企業基盤整備機構 J-Net21「全員DXで生産性を向上 “社員が楽になる”を実感して自走へ」(2026年2月9日公開、2026年11月2日確認)
https://j-net21.smrj.go.jp/special/dx/_20260209.html
※本文では事例企業名・製品名を表示していません。掲載した数値は当該事業者の実績であり、再現を保証するものではありません。画像は説明用のイメージです。



